2017年6月7日水曜日

井の中の蛙、大海を知る

ねっとりとした汗が流れる。
エアリズムがぺったりと張り付いた背中は不快なこと極まりない。
手帳を開き、次の面接の場所を確認するとYahoo乗り換えでルートを探索する。
丸の内のオフィス街をスパイクではなく真っ黒な革靴で駆ける。
頭の中は志望動機、学生時代頑張ったこと、自分の強み、諸々。
吐きそうな緊張感で時折しゃがみこむ。

駅のホームで内定もらったと騒ぐ学生が一人。二人。
うるせえ。
黙れ。
内定よこせ。

サッカーしてる時とは違う緊張感。
サッカーしてる時にかく汗とはまったく違う。
ビデオミーティングで面接のこれが悪いとかあれが悪いとか、振り返ることもできない。
ご縁があるか、ないか。それだけ。



面接では体育会ア式蹴球部で活動してきたことをメインで話した。
広報活動で自分が携わった様々なことを情熱を持って言葉にした。
告知、ホームページ、集中応援日、メルマガ。

ただ、社会人の反応は予想以上に薄かった。
『へぇ。だから?』
『選手としては?』
『応援でチーム強くなるの?』
どうも腑に落ちていない面接官の顔を見るたびに自分の部活で行ってきたことや、自分が部活動に対して持ち続けてきた想いに対して自信が持てなくなる。
僕が口下手なだけかもしれない。
僕が緊張しすぎていただけかもしれない。
隣のオタクくさいやつにも、向こうのチャラついてるやつにも、負けていないはずだ。
大学で捧げてきたことの質や量は間違いなく上だという自負があった。

ただ、それはア式という狭いコミュニティの中だけで得た評価を自分なりに良い方に解釈していただけなのかもしれない。自分が情熱を捧げたと言っても、客観的にみたら大したことはないのかもしれない。
応援を増やしたい。OBのコミットメントを強化したい。広報ユニットというフィールドを通じてチームを強くしたい。
この想いも、つまるところ選手として活躍できなかった心の拠り所であったのかもしれない。もし、チームを強くしたいという想いがそれほどのものであったなら、尋常でない努力をしただろう。広報の話をうんたらするより、選手としての活躍をもっと話せていただろう。もしかしたら、選手としても広報としてももっともっと色々出来たんじゃないか。
というか、広報としてももっと革新的な変化を生み出したり、応援の動員数に直接結びつく企画を打ち出せたんじゃないだろうか。

結果が全ての世界で、結果が出せない人間の言い訳だったのか。
妥協点を自分の最高値に据え置いて、満足していただけか。
自宅で面接の通過連絡を震えながら待つたびに自問を繰り返す。
広報でチームを強くしたかった。広報でより多くのOBや保護者を取り込んで魅力溢れるチーム作りの一環になりたかった。
それまで自分の中で軸としていたものが信じられなくなった。
足元から崩れ落ちていくような、頭から溶け出すような。

焦燥感にも似た想い。

内定をもらった企業達が自分を評価した言葉は一貫していた。
『君が海外生活で得た経験』
『語学力』
『君という人柄』
『君の我が社への想い』
倩々。

広報のこと、評価してもらったわけじゃないんだ。
中心選手じゃなくちゃダメなん?
プロ選手欲しいわけじゃないでしょ?
それとも、僕の部活への想いが弱いだけなのかもしれないけど。

これだけやってきた。
こんだけ変えた。
こんだけ影響を与えた。
でも、自分の尺度でしかみれていなかった。
広報として、もっともっとできたことがあっただろう。
選手として、もっともっと成長できていただろう。

気づきの多い就職活動だった。


最近の出来事
・梶さんのオワハラ半端ない。
・就活中、仁賀は毎晩のように同期にLINEして就活サポーターズになってたらしい。


#9 船越弘晃

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