2017年シーズンのGMを務めました吉田圭吾です。
広報ユニットよりGMからの最後の挨拶としてこのような機会を頂くことができました。
本来であれば今シーズンの総括をする場なのだとは思いますが、色々とあったシーズンでもあり、前向きな姿勢を貫きたいという思いもありますので、過去ではなく未来にベクトルを向けるという意味も込めて、ア式蹴球部の今後を担う後輩に向けて主に文章を書かせていただければと思います。
また、GMという役職からは離れて、一人のア式部員としての等身大の経験と思いを綴ることで、一人でも多くの後輩の背中を押すことができればと思います。
そして最後に、感謝の気持ちを伝えさせていただければと思います。
少々長いですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
それでは始めさせてもらいます。
「人生を変える」
僕のア式における初心であり、GMになることを決心した原点です。
自分の掲げた目標を一度たりとも達成したことがない人生でした。
大学入学まであらゆる物事においてあと一歩のところで成功を掴み損ねてきました。
努力が報われないことにも、負けることにも、認めたくはなかったですが、慣れてしまった情けない自分がいました。
自分には何かが決定的に欠けているのだとそう信じ込み、強烈な劣等感を抱えていました。
一方で、成功を諦めきれない自分がいるのも確かで、失敗するたびに不安にも駆られました。
失敗を影だとするならば、いくらもがいたって影は深まるばかりで、輝く瞬間なんてないまま終わってしまうのではないかと考えたからです。
けれど、そんなことを恐れていても何も始まらないことは分かっていました。成功を掴みたいのならば、踏み出すしか道はないからです。
だから、いつか成功すれば、今までの努力も報われるはずだと自分に言い聞かせ、また次の目標に向かって、努力が足りなかったとさらなる努力を積み重ねる、そんなことを繰り返してきました。
そんな僕にとってア式は最後のチャンスでした。
今度こそ成功を掴みとり、人生を変えたいと強く願いました。
そして、入部して間もなくGMになることを決意しました。
自分を大きく変えるには一歩踏み出すしかないと思ったからです。
「自分を信じる」
後輩は僕のことをよく知らないと思いますが、おそらく皆がイメージするような人間、選手ではなかったはずです。
僕は人前が極度に苦手でした。入部宣言の自己紹介ですら足が震えるような人間です。円陣や一発芸なんてもってのほかでした。
また、どうしようもなく足の遅く、フィジカルの弱い選手でした。シュートも下手でよくふかしていたのを覚えています。
それでも自分を信じました。いや、信じるしかありませんでした。
とにかく成功したかったし、変わりたかったからです。
「自分は結果を残せる」「自分は変われる」と何度も自分を奮い立たせ、努力へと駆り立ててきました。
それでも根本は変わることができなかったのだと思います。相変わらず円陣では緊張しますし、足は遅く、フィジカルも弱いままです。
けれど、自信のある振りならできるようになりました。足元の技術を生かせる程度のスピードなら身につけることができました。
そして、何とか1年間GMを務め上げ、4年間で想像以上の結果を残すことができました。
何より、その過程でついに成功を掴み、人生を変えることもできました。
もっと自分を信じていい。
正樹は大事な場面ですべて決める選手になるし、ゴリは不動のレギュラーになる。
やまけんはチームを関東昇格に導くし、田尻はリーグ戦で活躍する。
覚悟さえあれば、全部不可能ではないはずです。
この4年間で多くの大それた目標を掲げました。
もちろん叶わなかったものの方が多いです。
最後まで立教や東経に勝つことはできませんでしたし、関東昇格も果たせませんでした。
けれど、1部昇格を決めるゴールを奪うことはできました。
自分を信じることができていなければ、何一つ叶えるどころか、努力へ向かうことすらもできていなかったと思います。
もっと自分の可能性を信じてください。
もっと大きな夢を見てください。
時には思いっきりポジティブになって、どデカイ希望を語ってください。
すべてはそこから始まると思います。
そして、何よりも自分のために、勇気を出して一歩踏み出して欲しいと強く思います。
「関東昇格」
ア式は僕の在籍した4年間でも強くなりました。
1部は夢の舞台ではなくなり、関東昇格は少しばかりイメージできるものとなりました。
4年前には想像もできなかったことです。2部の試合で精一杯だった当時の僕には1部の相手の背中なんてほとんど見えていませんでしたから。
そんな僕にとって、1部の選手と対等にやり合う高山や右田のような下級生の存在は驚きでしかありませんでした。同じピッチの上に立ちながらも、時代の変わり目に立ち会っているのだと強く感じたのを今でも覚えています。
後輩の皆に今見えている景色は当時の僕の見ていたものとは全く異なるものなのでしょう。
それはア式が一つ上のステージに上がったことを示しているのだと思います。
そのままでい続けてください。
来年の目標は1部「復帰」であってほしい。
そして、再来年の目標は関東昇格であってほしい。
僕にとって明治学院戦がベストゲームでした。
2年前の東大戦でも、去年の1部昇格を決めた武蔵戦でもありません。
僕の心が最も震えたのはあの試合でした。
相手に引かれる、笑われるくらいの気迫、根性、泥臭さ。ア式らしさを体現することのできた試合だったと思います。そして、その中心にいたのは玉水、城所、君たち後輩でした。1部の選手を球際で圧倒する君たちの姿は頼もしくて仕方ありませんでした。
来年のア式はもっと強い。再来年のア式はさらに強い。確信しています。
そして、いつの日か、関東昇格を決める舞台で、後輩たちのこうした戦いを見ることができならば、どれだけ心揺さぶられるでしょうか。
今から楽しみで仕方ありません。
「感謝」
同期へ。
どうしようもなく不器用な代でした。
当初は数きれないほど衝突もしたし、まとまりなんて微塵もありませんでした。
先輩にも沢山の迷惑をかけたし、あまり大層なことは言えないですが、一人一人のこの部を強くしたいという気持ちが強かったからこそだと思っています。
その目標のためなら一切妥協しないこの代の皆と共に歩むことのできた4年間は僕の誇りです。
後輩たちはしっかりと意志を受け継いでくれています。
それは本当に幸せなことで、実はそれだけで十分なのかもしれません。
愛想を尽かさずに支え続けてくれたこと。
共に最後まで戦ってくれたこと。
とにかく感謝しかありません。
本当にありがとう。
後輩へ。
1年間共に戦ってくれてありがとう。
皆の優しさと素直さに救われることの多い1年でした。
色々なものを背負わせることになってしまったこと、特に3年生には申し訳ないですが、あとは託しました。
大事な場面、辛い時、難しい状況でこそ、サッカーを楽しむ気持ちを忘れずに取り組んでいってほしいと思います。
皆が歓喜を迎えるその時は、僕も同じピッチの上でそっと喜ぼうと思います。
一人一人の成功と幸せを心から祈っています。
ア式蹴球部を支えて下さる全ての皆様へ。
4年間本当にお世話になりました。
僕のサッカー人生はア式蹴球部との出会いで全て報われました。
本当に感謝してもしきれません。
沢山の素晴らしい瞬間をありがとうございました。
来年は2部からの再スタートとなります。
後輩たちは例年以上に難しいシーズンを送ることとなると思います。
引き続き温かいご支援とご声援をよろしくお願い申し上げます。
僕自身もこれからは一人のOBとして夢の続きを見守りつつ、後輩たちを支えることで恩返ししていければと思います。
4年間本当にありがとうございました。
2017年シーズンGM 吉田圭吾