前回のブログでは、技術、フィジカル、理解、 意識の4つの差について書きました。今回は、 日ごろフィジカル班として活動する中で考える機会が多かったフィ ジカルについて思ったことを書こうと思います。
フィジカルと言うと体の強さや筋肉のつき方をイメージすることが 多いと思いますが、そこには瞬発力や持久力、 アジリティーといったものも含まれていると考えています。Jリー グや海外のプロの試合ではフィジカルの面での明らかな差というも のはそれほど感じることはなくむしろ技術や戦術的な差に目が行き ます。しかし高校、 大学のサッカーの試合ではフィジカルの差がそのまま結果を左右し ているなと感じることが多いです。 選手権の青森山田対聖和学園を見に行ったのですが、 足元の技術では明らかに聖和の選手の方が上手でした。1人で2、 3人なら簡単に剥がせるしDFラインからでも怖がることなくドリ ブルを仕掛けていました。ただ勝ったのは青森山田でした(5- 0)。遠目からでも両チームのフィジカルの差は歴然で、 ルーズボールの競り合いなどは殆ど青森山田の選手が勝っていまし た。フィジカルの差は球際以外の部分にも明らかに出ていて、 ロングボールの飛距離やダッシュ力(馬力)、 ヘディングなど言ってみればサッカーのスケールにかなりの差があ りました。この2校は極端すぎる例かもしれませんが、 高校や大学サッカーではフィジカルの部分で各チーム間にかなりば らつきがあり、 ある程度同じレベルに立って初めて技術や戦術の勝負になるという のが実感です。アジリティーや紅白戦のビデオを見ていても、 各カテゴリーの選手間(全体としてみたとき)でのフィジカル( 競り合い、加速、減速、ターンなど) にかなり差があるなと感じます。前回のブログにも書いたように、 今から足元の技術をどうこうするのは難しいです。その点、 フィジカルの部分は並木さんに質の高いメニューを提供していただ いているし、 かけた時間にある程度比例して伸びる部分だと思います。
フィジカル面の成長で期待できるのは球際の強さだけではないと思 います。 瞬発力がつけば今まで足を出されていたところで相手を抜けるよう になるかもしれないし、 クロスをあげられていたところで足に当たるようになるかもしれま せん。 相手にぶつかられて失うことが多かったボールも踏ん張ってキープ できるようになるかもしれないし、 ヘディングで相手よりたかい位置でボールをあてることができるよ うになるかもしれません。勿論、 そんな簡単にはいかないし時間はかかると思います。でも、 技術的な成長に懸けていないなら、 極論すれば理解かフィジカルを伸ばすしか成長の余地はないわけで そこに時間を割くことは無駄にはならないと思っています。
フィジカルを伸ばすとなったときに、外部からの情報や指示( 今でいうと週2のウェイトなど) にこだわる必要は全くないと思います。結局、 自分の目標に対して必要なトレーニングや動きが実践できていれば そこに外部からの強制は全く不要なものです。ただ、そのなかで、 何が本当に必要で何が正しいのかを考え見極めるのは絶対に必要だ と思います。 ヘディングを向上させたいのにあたえられたメニューにあるからと 言って上腕二頭筋のトレーニングやラダーをやっても効果は少ない だろうし、 目標とするフィジカルの水準に現時点で大きな差があるのに体幹ト レーニングだけやっていても強度が足りないでしょう。 目標に対してどこの部分を鍛えれば効果的でそのためには何のトレ ーニングをすればよいのかを理解して実践するのが大切だと思いま す。
また、何が正しいのかを考えることも非常に重要だと思います。 例えば、ドローインにしても、 並木さんに修正していただかなければおそらくまだ誤った理論に従 ってトレーニングを続けていたのではないでしょうか。 せっかく意識高く毎日時間をかけてストレッチしていてももしそれ が誤った方法だったりそれ自体にマイナスの効果があったなら、 面倒だからとストレッチをしていなかった人の方がパフォーマンス は向上するかもしれません。 つまりは中途半端に外部からの情報を鵜呑みにすると、 意識高くそれらを実践していてもそれを知らなかったり惰性で行っ ていなかった人たちより効率が悪くなることが往々にしてあるとい うことです。それは非常にもったいないことだと思います。
フィジカル班として何が必要で何が正しいのかを見誤らないように もっと勉強したいと思います。
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