2017年3月21日火曜日

声の力

僕は高校の頃ピッチ内で周囲に怒鳴り散らしていた。勝つためには気の抜けたプレーやくだらないミスに厳しい言葉をかける選手が、闘争心むき出しにチームを引き締める選手が必要だと感じて、自分がそうあろうとしていた。こう言うと聞こえがいいが、果たして本当にチームにプラスの影響をもたらせていたかはわからない。ただの偉そうで嫌な奴にすぎなかった気もする。試合中、どんな声かけがチームのためになるのだろうか。ア式に入ってから声について考えたことを書いてみようと思う。

サッカーで、というか集団スポーツにおいて大きく分けて二種類の「声」があると思う。一つは戦術的なもので、もう一つは精神的、あるいは意識的なもの。ここではこの後者の声の効果を取り上げる。声が作用する対象で分類すると、味方、相手、そして自分の三つに分けられる。

まず、味方への効果はわかりやすい。好プレーを褒めてチャレンジしやすくしたり、逆にミスに対して切り替えや反省を促したりする個人に対する声。球際やファーストセカンドへの意識を高めたり、劣勢の時や失点した時にチームを盛り上げ奮起させたりするチーム全体に対する声。うまくいけば味方のプレーを向上させ、チームの意識を統一し一体感を高められる効果がある。ただ、味方への思いやりを忘れてはいけない。怒鳴り散らすばかりで味方に不快感を与えたり、委縮させてしまったりしたらマイナスだ。味方の性格や心中、チームの状態や雰囲気を把握したうえでかけるべき適切な言葉・タイミングを考えなければならない。

相手への効果は何か。大げさに言えば、声の量は試合の「流れ」を左右しうる。声で負けていると、何となく押されているような感覚を抱かないだろうか。声で支配することは相手にやりにくくさせる効果がある。「右サイドバックが穴だ、狙っていこう」といったことをわざと相手に聞こえるように言うのもありだ。相手に少しでも不安や動揺を与え、ミスを誘発できれば成功だ。プロの試合では相手を言葉で挑発して退場に追い込むことも珍しくない。

最後に自分への効果。目立たないようで効果は小さくないと思う。このブログで実は一番伝えたい部分。簡単にいえば、自らの声に動かされるのである。自己暗示に近いかもしれない。自分にスイッチを入れる感覚ともいえる。例えば、「球際厳しくいこう」と言った直後に自分の球際の強さが問われるシーンがあったとするそのシーンでは声がなかった時より間違いなく若干厳しくいけた「気がする」し、マイボールにできた場合いわば有言実行した達成感を得てプレーの調子が上向く。他には、試合開始直後や交代で入った時に声を多めに出すと、試合に積極的に「入る」あるいは「溶け込む」感覚を得られる効果もある。緊張や不安を軽くして戦闘態勢にしてくれるのだ。メンタルが不安定な選手は精神的な声をあまり出さない傾向にあるように思う。声を出すことで自分のメンタルをコントロールする発想を持ってはどうだろうか。

つまり、精神的な声には、勝利を近づける様々なプラスの効果が期待できるのだ。人によっては大声が出ないとかタイプじゃないとかあるとはいえ、黙ってプレーするのは甘えだと思う。自分への効果の大小は人それぞれだけど、味方や相手への効果は明白であり、誰もが積極的に出そうとすべきだ。自分より上手い選手にだって、不用意なロストをした後にサボってちんたら歩いてたら一言言わなきゃいけない。精神的な声に上手い下手は関係ない。関係あるのは勝ちたいという気持ちの強さであって、「自分が言える立場じゃない」と思うのは結局反論や自分への非難を恐れているに過ぎない。

声の出る選手がいるチームは強い。大東のCB90分間驚くほど声を張り上げ続けていた。ア式にはまだまだ精神的な声かけに長けた選手が少ない。たかが声、されど声。常に声が絶えないチームになればもっと強くなれるはずだ。

怪我して暇なせいか長くなりましたすみません。

最近の出来事
キーパー練習中の大内がめちゃめちゃかっこいいって知ってました
田尻から幸せがあふれてるので突っ込みましょう


56 玉水寛人

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