2018年10月26日金曜日

「ア式で過ごした日々」

無理を言って、もう一度ブログを書いています。この前のブログは最終節前に書いたブログなので、シーズンを終えた今、もう一度4年間を振り返っていきたいと思います。今回のブログのコンセプトは「穏やかで岡谷らしくないブログ」なので気楽に読み進めてください。長いですが、最後まで読んでくれると嬉しいです。

1年目-「迷い」

大学入学当初、ア式に入部する気はありませんでした。今思うと確実に向いていませんが、いわゆる一般的な大学生のように、サークル、バイト、遊びを中心とした生活を送ろうと思っていました。しかし、サッカーから離れた期間があったせいか、より一層サッカーに対する気持ちが強くなり、気づいたら練習に参加することを決めていました。何故また本気でサッカーをやりたいと思ったのかは正直わかりません。初めて練習に行った日のことで覚えているのは、茶髪の塩月を見て、やばい奴がいると思ったこと、小野間を見て、ひ弱な奴がいると思ったこと、普勝さんを見て、あっ、デブがいると思ったこと、などです。その日に入部宣言をしました。ちなみに、最初に仲良くなったのはゴリ(加賀)でしたが、おそらく、ゴリが僕の話すこと全てに「確かに」と同意してくれるイエスマンだった(今は違いますが)ので、一緒にいて気持ちが良かったんだと思います。金田さんに評価してもらえたおかげで、早い段階から上のカテゴリーでサッカーをすることができ、高校生の時以上に考えることを求められる大学サッカーに戸惑うことも多かったですが、単純にサッカーが出来る喜びを感じていました。
そんな僕に厳しい態度で接してくれたのが、竹本さんです。ボロクソに言われました。相当へこみました。今となって振り返れば、この指摘があったから、メンタル面が強化され、同時に、サッカーは考えることが大切であるということを身をもって知ることができたのだと思います。今では感謝していますが、当時の自分は、自分のプレーが何もかも良くないのだというように感じ、この時から長い「迷い」の時期に入りました。考えることを要求され続ける中で、何をすればいいのか、自分はどういうプレーでチームに貢献すればいいのか、どういう強みを持っているのか、考えては迷い続ける時間でした。何度かチャンスを与えてもらったのにも関わらず、結局迷いを払拭しきれず、このシーズンではほとんどいいプレーができませんでした。次のシーズンに入ってからも2年生になるまで迷いは継続していました。そんな迷いを払拭するきっかけをくれたのが、松井さんです。松井さんは、僕が周りに対してネガティブな声かけをし過ぎていることを指摘してくれました。この指摘について考えているうちに、それまでは自分の活躍だったり、自分の貢献だったり、自分のプレーだったり、自分にとらわれすぎていたことに気がつきました。だからこそ、自分の思い通りにいかないことで、周りに当たっていたのだと気づきました。それと同時に、それでうまくいっていないのならば、自分らしいプレー、自分が求められているプレーというのは「周りの選手が活躍できるよう、サポートやカバーに徹すること」だと思うようになりました。自分らしさというものが分かった途端、一気に気が楽になり、サッカーを楽しめるようになりました。迷いを払拭して、2年目に入りました。

2年目-「飛躍」

2年目は確実に「飛躍」の年だったと思います。「周りの選手の活躍をサポートすること」それを意識するようになってからはトントン拍子でした。見る見るうちにカテゴリーが上がり、3節の山梨戦で途中出場でリーグ戦初出場を果たし、5節の上智戦でリーグ戦初スタメンになることができました。あの時の緊張と興奮は今でも鮮明に覚えています。応援で指示が通らなかったこと、味方の得点による安堵感、勝利に対する喜び、どれも鮮明に覚えています。ここまでうまく事が運ぶと思っていなかったので、正直驚きましたが、ダメだった自分を変え、明確な自分像を持ったことが報われたのだと思います。その後は怪我もあり、出場しない試合も多かったですが、最終的にはスタメンに戻ることができ、36年ぶりの1部昇格を決めた最終節武蔵戦に出場することもできました。この最終節武蔵戦も記憶に残る試合の1つです。4年間で1番緊張した試合で、ビデオを見直してみると、プレーの粗さや固さが目立ちますが、それでも36年ぶりの悲願を達成した時にピッチに立てたことは価値あるものだったと思います。
この年はリーグ戦の出場以外にもその後につながる大きな経験をさせてもらいました。技術ユニットとしての活動です。特に後期のリーグ戦からはA2(上から2つ目のカテゴリー)の分析と相手チームのスカウティングを同時に担当させてもらうことができ、毎週とても忙しかったですが、サッカーというものについての理解をより深めることができました。この時から特に意識するようになったのは、「自分たちと同じように、相手にも意図がある」ということです。当たり前のことですが、試合になると意外と忘れがちなことで、自分たちの意図に固執してしまい、相手が見えなくなる、自分たちしかピッチ上にいないかのようにプレーしてしまう、こういうことはよくあることです。試合は自分たちの意図と相手の意図が相互に絡み合って展開されていくものです。相手が中を締めようとしているのに、中を崩すことに固執してしまえば、相手の思うツボです。相手の意図を知り、自分たちの意図の実現に反映させる、これが非常に大事なことだと自チーム分析とスカウティングを通して感じることができました。この経験がなければ、僕のサッカー観はいまだに未熟なままだったと思います。この仕事を任せてくれた大口さんにも感謝しています。
このように2年目はプレーそのものとサッカー観の両面で飛躍できた年だったと思います。おかげで、自分のプレースタイル、サッカー観がある程度固まった状態で3年目を迎えることができました。

3年目-「挑戦」と「挫折」

3年目は大きく2つの時期に分かれると思います。1部という未知の世界への「挑戦」の時期と、その挑戦の道が途中で絶たれた「挫折」の時期の2つです。
まず「挑戦」の時期ですが、前年に1部昇格を果たしたチームは(主にトップチームのメンバーは)シーズンインから自信と危機感の両方を抱いていたように思います。自分たちなら1部にインパクトを残せるだけのポテンシャルがあるという自信を持つ一方で、もっと個人も組織も成長していかないと勝てないという危機感もあり、一見矛盾するような2つの感情が共存していた気がします。この2つの感情が良い方向に作用したことに加えて、怪我が少なく、ずっと同じメンバーで戦い続けられたおかげで、成熟したチームを作ることができ、ついに開幕戦を迎えました。前期の全9節は密度の濃い9試合だったと思います。上手くいかなくてもチャンスをものにする底力を見せつけられた東経戦、1部で戦っていける自信を強めた帝京戦、國學院戦、1部の粘り強さを実感した成蹊戦、暑さに負けた武蔵戦、力の差を感じた立教戦、粘り強さを見せつけた大東戦、1部で戦えることを証明した山学戦、明学戦。この9試合の中でも、最後の3連戦は特に鮮明に記憶しています。僕の大学サッカー生活で最も熱い3連戦でした。連敗を喫し、沈んでいたチームが大東戦終盤での右田のゴールから息を吹き返し、強豪との2連戦で大健闘(明学戦のラストで相手のキーパーに決められたのは今でも残念ですが)できたことは今後のチームにとっても価値あることだったと思います。
しかし、この3連戦で自信を高め、関東参入戦も現実味を帯びてきた中で部活動停止処分となり、挑戦の道を絶たれることになりました。ここが「挫折」の時期です。活動停止の詳細は割愛しますが、今でも当時のことを思い出すと、悔しさがこみ上げてきます。後期リーグに出場できないことが確定した時の4年生の顔は忘れられません。それでもこの時期から得られたものもありました。4年生が活動再開に尽力する姿を見て、チームのために行動するということはこういうことなのか、と実感することができましたし、部の活動ができないことで、どれだけそれまで環境に恵まれてきたのかを気付くことができましたし、活動停止期間中、僕たちに協力してくれたOBさん、保護者、他大学の方々の姿を見て、どれだけ多くの人がア式をサポートしてくれているのかを知ることができました。チームとして活動できなかったことはもちろん悔しかったですし、挑戦の道が絶たれたことは今でも無念ですが、多くのものを得ることができたこの期間も自分にとっては価値あるものだったと思います。活動再開後の東京都トーナメントについてはあまり良い内容の試合はできなかったですが、単純に4年生とサッカーが出来る喜びを感じていました。最後の武蔵戦は不甲斐ないプレーをしてしまい、少し心残りですが、とても楽しかった期間として記憶しています。
そんな激動の3年目を終え、ついに最終学年になりました。

4年目-「苦難」と「成長」

1部に復帰するという決意を胸に、最終学年として過ごす4年目が始まりました。結果を見れば分かる通り、最後まで苦しみ続けたシーズンでした。内容も結果もついてこない試合が続き、当初思い描いていた結果とは異なる結末を迎えてしまいました。直接的な原因は得点を奪えなかったことなどがあげられますが、チームの雰囲気やトレーニングの質といった根本的なところが原因だったと思います。そういった根本的なところを変えていこうと、GMに専念するなど、様々な方策を試してみましたが、どれもうまくは作用せず、最後までチームを劇的に変えることはできませんでした。
それでも、置かれている状況、考えられる選択肢を本気で考えて、自分なりに最善だと思うことを決断したことは僕にとって非常に価値ある経験だったと思います。正直に言えば、自分が本当にやりたかったことは今シーズンほとんどできていません。自分の思い描いた雰囲気、攻撃、守備、どれもこのチームには合わないと思って、早い段階で捨てました。これが正解だったかどうかは分かりません。しかし、自分を犠牲にしてでもチームを優先して決断するということはそれまでにしてこなかったことで、重要な経験だったと思います。結果的には、僕の見通しの甘さ、能力不足が原因で、チームに最大限の力を発揮させることはできませんでしたが、個人視点だけでなく、チーム視点で行動できたことは少しは誇りに思ってもいい部分だと思います。
そして、GMとしてチーム視点で行動した今シーズンから学んだこともたくさんありました。その中でも特に大きなものは、「相手の立場に立てないと、人は動かせない」ということです。つまり、自分の都合だけを考えて、相手を動かそうとしても、うまくはいかないということです。3年生までの僕は、タイプが似たような人と試合に出てたこともあり、しっかりとした根拠があり、理にかなっていれば、自分の思ったことをそのまま口に出しても、人は動いてくれると思っていました。しかし、GMになり、部員全員を動かしていく立場になった時、それではうまくいかないことが増えてきました。動いてくれない原因は何か、考え続けた結果、人は理性よりも感情で動くことが多いと思うようになりました。だから、頭で理解してくれても、面倒臭さなどの感情が勝り、行動に移してくれないのだと気づきました。そうなると、理性よりも感情にアプローチする方が適切だということになります。理性は客観的なものですが、感情は主観的なものです。相手の主観にアプローチする、これは自分の感情を媒介にしてはうまくいきません。だからこそ、相手の立場に立ち、相手の感情を理解してから、その感情に合わせてアプローチしていく、これが人を動かす上で最も大切なことだという結論に達しました。この結論に至ったのがシーズン途中だったことに加えて、僕の性格的な問題もあり、なかなか実行に移せませんでしたが、後期の首都大戦からは相手の立場に立ち、チームのメンバーに声をかけ続けることができたと思います。それだけでも大きな成長でした。
結果がついてこないシーズンでしたが、今の自分にできるベストな決断をし、選択肢があったら常に難しい方を選んでこれたため、今シーズンの自分の取り組みに後悔はありません。最高ではありませんが、良い終わり方が出来たと思います。

現在-「感謝」

だいぶ省いて4年間をまとめてみましたが、ここに書ききれないほど多くの経験をしました。その経験の全てが今の僕を作っています。どれも欠けてはならない大事な経験です。そして、その経験には必ず仲間の存在がありました。ア式でのデビュー戦でも、リーグ戦初出場でも、初スタメンでも、昇格のかかった試合でも、練習でも、ユニットの活動でも、どの経験でも仲間が隣にいました。仲間の存在がなければ同じ出来事でも、同じ経験はできなかったと思います。彼らとだったからこそ、今の自分を作る貴重な経験ができたのだと思います。
その経験の中でも、特に自分にとって転機になった経験においては、先輩の存在が大きかったと思います。模範となる行動を見せてくれ、GMをやろうと決意させてくれた金田さん、考えてサッカーをするきっかけを与えてくれた竹本さん、迷いから抜け出すきっかけをくれた松井さん、僕がより成長できる機会を与えてくれた大口さん、自由にチャレンジできる土壌を作ってくれた圭吾さん。苦しんでる時も同様に先輩が支えてくれました。迷いの中でくすぶっている僕に、お前は実力があると言って、自信を持たせてくれた修さん、タイプが似ているからと言って、話を聞いてくれ、アドバイスもくれた宗さん。その他にもここには書ききれないほど多くの先輩から影響を受け、支えられて、僕は成長してきました。入部した時よりましな人間になれたのは、先輩たちの存在があったからです。無礼な発言をすることも多かった(特に1つ上の代)ですが、どの方にも感謝しています。本当にありがとうございました。
上級生になってからは、ア式という組織がどれだけの人々に応援され、サポートされているのかを実感しました。周りのサポートがなければ、満足に練習することもできなかったと思います。OB、OGの方々のご支援がなければ、チームを運営することはできなかったですし、保護者の方々のサポートがなければ、部員がサッカーに集中することもできなかったですし、皆様のご声援がなければ、最後の最後で踏ん張れていたかどうか分かりません。皆様のサポートがあったおかげで、4年間で様々な経験をすることができました。本当にありがとうございました。今シーズン、皆様のご支援、ご声援に結果で応えることができず、申し訳ございません。来シーズン、後輩たちが今シーズンの反省を生かし、必ず皆様に「勝利と感動」を届けてくれると思います。
大学生活で最も多くの時間を共有したのは、同期のみんなです。賭け事が大好きなところなど、どちらかといえば真面目な僕にとっては所々相容れない部分もありましたが、同期のみんなには感謝の気持ちしかありません。GMに専念することなど、独断で決めてしまうことが多い僕をサポートしてくれたのはみんなでした。全員をリーグ戦に出すことはできなかったし、不満もたくさんあったと思うけど、それでもチームを引っ張っていく最高学年としてしっかりと振舞ってくれたみんなには感謝も気持ちで一杯です。今シーズンは本当に苦しいシーズンで、勝てないことも多かったけど、最後の最後でチームが崩れなかったのはみんなの力があったからだと思います。その力があったからこそ、僕も踏ん張れたし、最後に勝利を収めることができたのだと思います。本当にありがとう。

今後-「期待」

まずは、1、2、3年生の皆さん、今シーズンはありがとうございました。チーム事情でやりたくもないポジションでプレーさせてしまうこともあったし、正当に評価されていないと感じることもあったと思うけど、挫けず部の活動に取り組み、結果を出せない不甲斐ないGMについてきてくれたこと、感謝しています。来シーズンのチームへの期待も込めて、各学年に対するメッセージでこのブログを締めさせてもらうことにします。

1年生:すごく真面目な代だと思います。練習以外ではふざけていますが、練習中にその態度を持ち込むことはしないし、人のアドバイスをしっかり聞く真面目な人が多いと思います。その真面目さを生かして、長期的な目標を立てて、愚直に練習に取り組んでください。その姿勢が4年間のどこかで必ず実を結ぶはずです。ゴリや純のように。そして良い習慣を作ってください。習慣が性格を作り、性格がプレーを決めます。君たちには残りの3年間で劇的に成長できるだけのポテンシャルがあります。最高学年となり、見違えるほど成長した姿で関東リーグのピッチ上を駆け回っている姿が見れると信じています。

2年生:個が確立している代だと思います。自分がどういう選手になりたいかを明確に意識している人が多いという印象です。これからは個を磨くことに加えて、チームから何を要求されているか意識してみてください。それが自分がチームに与えられる価値です。チームに求められていることと自分が目指しているものが全く違えば、試合では使われません。自分が目指しているものとチームに求められているものが合えば、どんな状況でも確実に活躍できる代だと思います。これからはチームを引っ張っていく側になるので、チームを背負う覚悟を持って部の活動に取り組んでください。期待しています。

3年生:ピッチ内外で良いムードを作れる代だと思います。なんだそれ、と思うかもしれませんが、今シーズン戦ってきて、嫌という程雰囲気の大切さを実感しました。どれだけの期間をポジティブな雰囲気で戦えるか、これが非常に重要です。本当に重要になる雰囲気というものを良い方向に変化させることができるのが3年生の特徴だと思います。君たちには一人一人良い雰囲気を作れる才能があるので、考えすぎず、自分が正しいと思う行動を取ってください。そうすれば、どんな苦境でも崩れない最高のチームが作れるはずです。最高学年になるからといって変わろうとする必要はありません。3年間過ごしてきて、作り上げた自分の役割を全うすることを意識してください。3年生はすでに一人一人がチームに欠かせない重要な役割を担っています。自分を信じて、悔いの残らない1年間を過ごしてください。後のこと、頼みます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。これが僕の4年間で最後のブログです。最高の4年間でした。こんな4年間を過ごせたのは、支えてくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。これからも一橋大学ア式蹴球部をよろしくお願いいたします。

2018年度GM 岡谷真広

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