2018年10月15日月曜日

「信念、メッセージ」

四年間で多くの新しい価値観ができた。今回は最も大事にしている一つの信念について書いていきたい。後輩をターゲットに書いているので、途中少し説教じみた内容になっていて申し訳ないが、不快に思わず、最後まで読み進めてほしい。読み終わった後、何かしら感じることがあれば嬉しい。

信念:「結果は準備の段階で決まる」

サッカーに関して言えば、結果というのは試合の結果であり、準備というのは試合が始まる前の過ごし方全てだと思う。試合には多少偶然という要素もあると思うが、その偶然というものも良い準備をしてきた人に対して好意的に訪れるものだと思うので、個人的には試合は準備の段階で全て決まっていると思っている。準備が良ければ、プレーも良くなるし、自信を持つことができるし、チームの連携も取れるし、運も付いてくる。だからこそ結果も付いてくる。俺はそう信じている。

孫子に「算多きは勝ち、算少なきは敗る」という言葉がある。簡単に言えば、戦う前の彼我の戦力比較で勝敗は決定しているということである。その試合前の戦力というものを決めるのは、準備ではないだろうか。どれだけその試合に向けて練習を行ってきたか、士気を高めるために努力してきたか、といった準備というものがチームの試合前の戦力を計る上で最も重要な要素になっていると思う。良い準備をして、試合前の戦力比較で相手より勝れば、よっぽどのことがない限り、勝利は保証されている。(先ほども言ったが、そのよっぽどのことというのも良い準備をしてきた人に対して好意的に起こるものだと思っているので、個人的には事前の戦力比較での勝敗=実際の勝敗だと思っている。)

もう一つこれに関連して好きな言葉があるので紹介しておく。東郷平八郎の連合艦隊解散の辞の一節だ。
「神明はただ平素の鍛錬に力め戦はずしてすでに勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、一勝に満足して治平に安ずる者よりただちにこれをうばふ。古人曰く、勝って兜の緒を締めよ、と。」
結果に安堵するのでなく、次の戦いに向けてしっかりと準備をしていくことが大切だということ。常日頃の準備にこだわっていれば勝利は与えられるということ。少し内容は異なるが、これも準備の大切さについて示唆を与えてくれるものだと思う。

ア式の一員なら、日頃から、練習や私生活の大切さについて言われてきている分、この考え方に完全に反対する人はおそらくいないと思う。しかし、これを心から実感し、体現している人はどれだけいるだろうか。各々自分に対して次のことを問いかけてみてほしい。

・試合に向けて最高の準備をしてきたと胸を張って言えるか。
・後で準備に対して後悔したことはないか。
・他のことを犠牲にしてまで、準備に命を削れているか。

より具体的な問いかけだとどうだろうか。

・練習では常に試合を想定して、全てのメニュー(ストレッチから)に100%の力で取り組んでいるか。
・食事の内容、時間は適切なのか。
・睡眠の時間、質は適切なのか。
・試合に向けて様々な状況想定をしているか。

これは準備の一部に過ぎないと思うが、意識できているだろうか。おそらくここまで考えて準備している人はいない。客観的に見ていてそう感じる。練習で手を抜いている、ストレッチを適当にやる、アジリティで最後までダッシュしない、夜遅くにご飯を食べる、といったことを練習や食事ラインなどでよく目にする。それは準備を怠っていることに他ならない。これはチームの全員に言えることだ。はっきり言って、今のア式で全く妥協せずに準備をしている人間は一人もいない。一年間GMとして、チームのみんなを見てきてそう感じた。俺はちゃんとやっている、そう思っている人もいるだろうが、それは相対的にやっているように見えているだけではないか。絶対的に見て、全くおろそかにせずに準備しているわけではない。周りに比べたらしっかりと準備をしていると思っている人は、ただ自分と向き合うことから逃げているだけではないか。勝手に、これ以上の準備は無理だという限界を定めているだけではないか。それでいいのか。それで勝てるのか。それで心からサッカーを楽しめるのか。

厳しいことを言っているのはわかっているが、いつも言っているように、俺は改善出来ない人に何かを指摘することはしない。みんななら準備にもっとこだわりを持てるはずだと思っているから指摘している。みんなにはそれだけの理解力があるし、どう準備するべきかの知識もある。あとはやるかどうか決め、実行に移すだけだ。
一つだけ確かなのは、妥協せず準備をすれば、今までとは違った景色を試合本番で見ることができるということだ。技術面で言えば、良い準備をすれば、視野が広がり、プレーの選択肢も増え、パス、シュートなど一つ一つのプレーの精度も上がる。今まで出来なかったプレーが試合でも出来るようになる。身体面も同じだ。追いつかなかったボールに追いつくようになり、届かなかったボールに届くようになる。精神面については、準備不足は不安につながり、不安は迷いにつながる一方で、良い準備は自信につながり、自信は迷いない選択につながる。迷っている時と迷っていない時では見える景色は変わってくる。心技体どれを取っても、準備の質を高めることで、明らかに出来ることは変わってくるし、見える景色も変わってくる。そうなれば自ずと結果も良い方向に変わってくる。

結果を決めるのは彼我の戦力。戦力を決めるのは心技体。心技体を決めるのが準備。俺はそう思っている。
だからこう信じている。
「準備が結果を決める」

個人がチームに与える価値には二種類ある。直接的価値と間接的価値だ。直接的価値とは、試合に出場して活躍する、ユニットの活動を通じて組織をより良くする、といったその人個人が直接的にチームに与えた価値のことだ。間接的価値とは、チームメイトに対するアドバイスをしてチームメイトの成長をサポートする、試合に出ているメンバーを応援して活躍をサポートする、といった他のチームメイトの直接的価値に影響を与えることだ。例えば、このブログを読んでくれた後輩が何かしらを感じてくれて、実行に移し、今後の活躍につながれば、それは俺が与えた間接的価値として、今後も残ることになる。
俺は引退したら直接的価値をチームに与えることはできない。しかし、今の一年生が引退するまで、俺が与えた間接的価値の影響は続いていく。(もしかしたら今の一年生の引退後も続いていくかもしれない。)そういう意味では、俺たちの代は終わっていない。今の一年生が引退するとき、もっと上のレベルでサッカーをする、もっと素晴らしい団体になっていることを願って、最後に後輩にメッセージを送りたいと思う。何かしら響くものがあれば嬉しい。

熱さを前面に押し出せ。それがチームの熱狂につながる。
逃げずに自分と向き合え。それが自信と成長につながる。
恐れずに仲間と向き合え。それが馴れ合いではない本当の信頼関係につながる。
悪い習慣を断ち切り、良い習慣を作れ。それが土壇場でベストな行動を取れる性格につながる。

目標に突き進む勇気を持て。逃げずに向かっていけば、必ず目標に到達できる。目標に到達すれば、見たことのない景色が待っている。
何かを捨てる覚悟を持て。全てを掴もうとすれば何も掴めない。大事なもののために何かを犠牲にする事も厭うな。その姿勢を貫けば、本当に大事なものを掴み取れる。

信念を持て。そして、その信念を貫け。
信念がお前たちを強くする。
お前たちの大学サッカーはこれからだ。
お前たちなら出来る。

#50 岡谷真広

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